自動運転技術開発用合成データ生成・編集ツール
マツダ株式会社
マツダ株式会社に対し、自動運転技術開発のための環境認識・認知領域における深層学習アルゴリズム検証用教師データ作成を支援すべく、MAZDA CO-PILOT CONCEPT技術開発用合成データ生成・編集ツールを開発・提供しました。(2022年06月07日発表)
環境認識・認知領域における深層学習アルゴリズム検証用の教師データ作成を支援
多くの自動車メーカーが運転の自動化に向けた取り組みを進める中、マツダは人間中心の自動運転コンセプト「MAZDA CO-PILOT CONCEPT(マツダ・コ・パイロット・コンセプト)」に基づき開発を進めています。
当社がマツダに対して開発・提供した合成データ生成・編集ツールは、道路構造や鉄道線路などのインフラ構造物を主体とする「ベースデータ」、建物や樹木、遠景からなる「背景データ」、車両や信号、標識などの「アセットデータ」を合成し、景観データを生成するものです。編集ツール機能、アノテーション機能、車載センシング機能、エディット機能を備えており、生成された景観データはMAZDA CO-PILOT CONCEPT技術開発のために必要な環境認識・認知領域におけるディープラーニング(深層学習)アルゴリズム検証用の教師データとして活用されます。
合成データ生成・編集ツールは、ゲームエンジン※「Unreal Engine 4(アンリアルエンジン 4、以下「UE4」)」で開発されました。景観データは晴、曇り、雨、雪、昼夜などの天候や時刻の変化に対応し、フロントガラスにつく雨の滴やワイパーでの払拭も表現することが可能です。また、アセットデータは、当社が保有するUE4の質感が設定されたハイクオリティなアセットパーツ集を使用し、道路標識は形状ゆがみ、錆、塗料の退色など、路面標識・区画線は全体的なかすれ、部分的なかすれなど経年劣化をパラメーターで再現しています。
なお、合成データ生成・編集ツールの開発・提供にあたり、マツダの浦本様より下記のコメントをいただいております。
自動運転技術の開発において、業界では、これまでの運転支援機能の作動範囲をはるかに上回る走行環境における妥当性を検証するためにCGが広く活用されています。しかし市販シミュレータでは弊社の持つ課題をうまく解決できないという悩みがあり、ゲーム・映像事業を軸足としながら自動車産業の技術開発にも実績のあるシリコンスタジオ様にツールの作成を依頼しました。本ツール開発の過程ではシリコンスタジオの技術者様より様々な提案をいただき、当初想定していたよりもはるかに素晴らしいものとなっています。今後本ツールの活用により弊社の技術開発が加速することを期待しています。
マツダ株式会社
統合制御システム開発本部 シニアスペシャリスト 浦本 征吾
※ ゲームエンジン:コンピューターグラフィックスによるアプリケーションやコンテンツ開発において必要なライブラリやツールなどの機能がまとまったGUIベースの統合開発環境です。高品質な3Dグラフィックスを比較的簡単に作成できる仕組みが揃っているため、近年はゲームや映像コンテンツのみならず、自動車や建築、製造業などの産業分野で活用が進んでいます。米Unity Technologies社の「Unity」と、米Epic Games社の「Unreal Engine」が高いシェアを誇っています。