XR(クロスリアリティ)とは?AR、VR、MR、SR、それぞれの違いとビジネスでの活用

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2024.09.20

XR(クロスリアリティ)とは?AR、VR、MR、SR、それぞれの違いとビジネスでの活用

VRやARが以前に比べ認知されるようになり、さまざまなサービスやコンテンツが登場しています。
また近年は、MRも登場しビジネスへの活用も進んでいる状況です。
しかし、ARやVR、MR、SR、そしてXRと似たような言葉が多いため、それぞれの違いを把握していない方も多いでしょう。

本記事では、XRとはどのようなものなのか、混同しがちなAR、VR、MR、SRの違い、それぞれの特徴、産業分野での活用についてご紹介します。

XR(クロスリアリティ)とは

XRとは「Cross Reality(クロスリアリティ)、Extended Reality(エクステンデッドリアリティ)」の略称であり、アルファベットで「エックスアール」と呼ばれます。VR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)、SR(Substitutional Reality:代替現実)という4つの技術を包括する概念です。

XRは、ゲームや映像コンテンツなどのエンターテインメントだけでなく、医療、教育、製造業など、さまざまな分野で活用されており、没入感の高い新たなユーザーエクスペリエンスを提供し、ビジネスの競争優位性を高めることが期待されています。

XRが注目されている背景

多くの企業がXRに注目しているのは、どのような理由からでしょうか。
ここでは、XRが注目されている背景についてご紹介します。

ソフトウェア技術やデバイスの進化

XRは現実世界と仮想世界を融合させ、新しい体験を提供することが可能です。
ソフトウェア技術やセンサー技術の進歩により、デバイスの性能は向上し続けています。高解像度のディスプレイ、高速なグラフィックス処理を備えたデバイスが登場するたびにXRの体験はリッチでリアルなものに進化しており、XRの普及を後押ししています。

通信インフラの高速・大容量化

5Gなどの高速通信技術の登場も、XRの普及を加速させています。
高速なデータ転送が可能なため、スマートフォンやヘッドセットなどのデバイスを通じて、いつでもどこでも体験できるリアルなコンテンツを提供できるようになりました。
通信インフラの向上は、XRを活用するのに最適な時代を築いており、高速・低遅延の通信環境が、XRの快適な利用を支えています。

新たなコミュニケーションの定着

XRはコミュニケーション手段としても注目されています。
仮想空間を介して、遠隔地にいる人々とリアルタイムでやり取りすることが可能です。
ビジネスミーティングや教育やエンターテインメントなど、さまざまな分野で新たなコミュニケーションの形が実現されています。

VR(仮想現実)の特徴

VRとは、コンピューターが生成する仮想空間を現実のように体験できる技術です。
ユーザーはVRゴーグルやヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着し、360度の映像を視覚的に体験することで、まるでその場にいるかのような感覚を得られます。
VRの活用により、ユーザーに視覚、聴覚、触覚を通じてリアルな体験を提供し、エンターテインメントから教育、医療まで、幅広い分野での商用化が進んでいます。

利用例

VRはさまざまな業界で利用されています。
主な利用例は、以下のとおりです。

  • 不動産業界:VRによる物件のリモート内見が増加
  • 製造業:作業手順確認や遠隔現場監督にVRを活用
  • 医療・介護:訓練や認知症治療にVRを導入
  • 教育:英語学習や研修プログラムでVRを使用
  • ショッピング:在宅での接客体験や仮想ショッピングモールをVRで実現

関連ページ:Silicon Studio「AR・VRソリューション

AR(拡張現実)の特徴

ARの特徴

ARは、CG(デジタル情報)と実際にある画像や映像(現実世界)を組み合わせて、現実の世界に仮想空間を作り出す技術です。
実在する風景や物体にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を仮想的に拡張します。
ユーザーはスマートフォンやARスマートグラスを使って、現実世界にないものをまるで存在しているかのように体験することが可能です。
例えば、スマートフォンを平面にかざすと家具が現れたり、ポスターを読み取ると宣伝動画が流れたりする演出を提供できます。

利用例

ARも、さまざまなシーンで活用されています。
以下では、主な利用例をご紹介します。

  • ゲーム:『ポケモンGO』に代表される、ARを活用したゲーム
  • マーケティング、広告:スマートフォンのカメラやアプリを介して、ポスターや壁面などに配信されているコンテンツを重ね合わせて閲覧
  • イベント:現実世界にアニメなどのキャラクターがARで登場するスタンプラリーのイベントを開催
  • 観光、地域振興:ARを使ってランドマークにアニメなどのキャラクターが現れるシミュレーションを提供

関連ページ:Silicon Studio「AR・VRソリューション

MR(複合現実)の特徴

MRの特徴

MRとは、Mixed Realityの略称であり、現実世界と仮想オブジェクトを統合し、両者がリアルタイムで相互作用する技術です。
具体的には、MRゴーグルが現実空間の形状を認識し、ホログラムをディスプレイに投影して現実空間上に表示します。
MRを活用することで、実物と同じサイズの車を再現して外観を自由な視点で視覚化したり、ドアを開けて車内の様子を確認したりすることが可能です。
近年、MRはビジネスシーンでの業務効率化や次世代技術の視覚化に利用され、注目されています。

利用例

MRの主な利用例は、以下のとおりです。

  • 設計とプロトタイピング:物理的なプロトタイプを作成せずに製品のデザインや機能を仮想空間で評価が可能
  • トレーニングと教育:医療従事者の手術シミュレーションや学生の3Dモデル理解に活用
  • リモートサポート:遠隔地の専門家が現地の作業者にリアルタイムで指示を出すために使用
  • エンターテインメント・ゲーム:仮想キャラクターやオブジェクトを現実空間に配置して、ユーザーが楽しめるゲームやアプリケーションを開発
  • ビジネスプレゼンテーション:製品のプレゼンテーションやデモンストレーションに活用

SR(代替現実)の特徴

SRは、過去の映像や出来事を現在の世界に投影し、それを現実のように再現することで、実際には存在していない虚構を、現実と置き換えて表示することができる技術です。
ゴーグルやモバイルデバイスを使用して現実世界に表示された虚構を体験する、という点ではARと同様ですが、SRでは現実世界における時間や位置、形状などの情報をもとに表示しています。

利用例

SRはインタラクティブなメディアコンテンツで利用されていますが、活用事例は多くありません。

XRの具体的な事例

XRはバーチャルイベントや観光、エンターテインメント、医療分野、製造現場、建築業、教育現場など、さまざまな分野で活用されています。
ここでは、VR・AR・MR・SR、それぞれの具体事例をご紹介します。

VRの具体的な事例

VRの具体事例を2つご紹介します。

遠隔で工事状況を測定・確認するVRシステム
プレストレスト・コンクリート工事大手のオリエンタル白石は、ニューマチックケーソン工法における作業室内の工事状況を遠隔で測定・確認できるVRシステムを開発しました。
自動運転システムのセンサーで計測された作業室内の三次元形状データを、ケーソン躯体やショベル、設備などの3Dモデルと併せてリアルタイムCGでVR化。
これにより、工事担当者は長時間作業室内に入らずとも地上から工事状況を測定できるようになり、業務効率が向上しました。施主や見学者も安全に遠隔で工事の様子を把握することができます。

遠隔で工事状況を測定・確認するVRシステム | オリエンタル白石様

関連ページ:Silicon Studio「遠隔で工事状況を測定、確認できるVRシステム

VR動画を利用した内覧サービス
日本を代表する住宅メーカーの積水ハウスは、「バーチャル住まいづくり」というサービスを展開しています。
VR技術を活用して住宅設計の新しい体験を顧客に提供するもので、顧客は住宅を建てる前に仮想空間を通じて設計プランを視覚的に確認することが可能です。
仮想空間に用意された住宅展示場では、自分の理想の家のプランをVRでリアルに体感することができます。

ARの具体的な事例

ARを活用した具体的な事例として、現場業務のデジタルマニュアルについて紹介します。

現場業務のデジタル化ソリューション
東芝デジタルソリューションズは「Meister AR Suite」を提供しています。
AR技術を含むデジタルコンテンツをノンプログラミングで作成・編集できるWindowsアプリと、作成したARコンテンツを再生・閲覧できるスマートデバイスアプリがパッケージ化されており、理解しやすいデジタルマニュアルを作成することが可能です。
現場の作業ミスを削減し、作業履歴をデータ化・蓄積することで、熟練者からの技術継承や業務効率化に貢献します。

「Meister AR Suite」|現場のデジタルマニュアル

MRの具体的な事例

ここでは、MRの具体的な事例を2つご紹介します。

建物の完成イメージの共有
東急建設は、建物の完成イメージをMRで再現し、ステークホルダーと共有しています。
建物の設計段階から、建物の外観や内部の配置をリアルタイムで可視化できるため、意思決定の助けになるのがメリットです。
また、建物の外観や内部の仕上げを詳細に確認できるため、誤解やミスの抑制にもつながります。

車両整備の研修・効率化
自動車メーカーのTOYOTAは、MRを使用して車両整備の研修を行っています。
整備士はMRデバイスを装着し、車両の部品や構造を仮想的に確認することが可能です。
実際の車両を分解することなく、効率的にトレーニングを受けられ、整備作業の効率化にも寄与しています。

SRの具体的な事例

理化学研究所が開発したSRシステム(代替現実システム)についてご紹介します。

SRシステム
SRシステムとは、VRの技術を応用し、あらかじめ用意された「過去」の世界を「現実」として体験させる実験装置です。
被験者はヘッドマウントディスプレイ(HMD)とヘッドフォンを装着し、2種類のシーンを体験します。
1つは、HMDに取り付けられたカメラからリアルタイムで送られるライブ映像、もう1つは被験者がいる場所で事前に撮影・編集された過去の映像です。
これらの映像を巧みに切り替えることで、被験者に過去の映像をあたかも目の前で起きている現実のように体験させることが可能となります。
SRシステムは、あらかじめ記録・編集された過去の出来事を現在の現実と信じさせることも、疑わせることも可能です。
メタ認知に関するさまざまな認知・心理実験が可能となり、新しいアプローチの心理療法や、VRやARとは異なる体験を提供するヒューマンインターフェイスとしての展開が期待されています。

XRの事例についての詳細は、以下の記事もご参照ください。

関連ページ:Silicon Studio「AR・VRソリューション
関連ページ:Silicon Studio「東芝デジタルソリューションズ株式会社現場業務のデジタル化を支援する「Meister AR SuiteTM」新バージョンの開発パートナーとしてシリコンスタジオを選定

シリコンスタジオは産業分野におけるXR活用を支援可能

シリコンスタジオではAR・VRをはじめとしたXR活用の支援が可能です。
ゲーム・エンタメ分野で培ったリアルタイム3DCGに関する高い技術力をベースに、XR開発に必要なミドルウェアの提供から技術支援、コンテンツの受託開発に至るまで、幅広く対応します。

関連ページ:Silicon Studio「AR・VRソリューション

XRの特性を把握してビジネスに活用しよう

XRは、VR、AR、MR、SRの技術を包括する概念です。
これらの技術はゲームやエンターテインメントだけでなく、医療、教育、製造業など多岐にわたる分野で活用されています。
VRは仮想空間を体験し、ARは現実に仮想情報を重ね、MRは現実と仮想オブジェクトがリアルタイムで相互に作用するのが特徴です。
XRは、通信技術の進化やデバイスの性能向上により、ビジネスの競争優位性を高める新たなユーザーエクスペリエンスを提供します。
それぞれの技術の特性を活かし、ぜひ自社のビジネスに活用してみてください。

シリコンスタジオでは、リアルタイム3DグラフィックスによるAR、VRアプリケーションによりビジネス課題を解決するソリューション・技術を数多く提供しております。
AR・VR活用による課題解決を検討したい方は、お気軽にご相談ください。

■著者プロフィール:シリコンスタジオ編集部

自社開発による数々のミドルウェアを有し、CGの黎明期から今日に至るまでCG関連事業に取り組み、技術力(Technology)、表現力(Art)、発想力(Ideas)の研鑽を積み重ねてきたスペシャリスト集団。これら3つの力を高い次元で融合させ、CGが持つ可能性を最大限に発揮させられることを強みとしている。

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