生成AI(ジェネレーティブAI)の種類や仕組み、どのように活用できるかを理解しよう
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2024.11.22

生成AI(ジェネレーティブAI)の種類や仕組み、どのように活用できるかを理解しよう

2022年に登場したChatGPTが火付け役となり、近年のコンピューター性能の飛躍的な向上によって学習能力と処理速度が大幅に改善されたことで生成AIが注目を集めています。
文章や画像、動画生成など、さまざまな分野で活用されており、導入する企業も増えているのが現状です。
しかし新しい技術のため、まだ生成AIに触れたことがないという方も多いかもしれません。

本記事では、生成AIがどのようなものなのか、種類や仕組み、活用方法などをご紹介します。

生成AIの種類と特徴

生成AIにはさまざまな種類があり、用途によって使い分けることが大切です。
ここでは、主な生成AIの種類とそれぞれの特徴をご紹介します。

文章生成AI

文章生成AIとは、自然言語処理(NLP:Natural Language Processing )技術を用いて、ブログ記事、ニュース、物語、詩、レポートなどのテキストを自動で生成する技術です。例えば、ChatGPTは大量のテキストデータから学習し、人間が書いたかのような自然な文章を生成できます。

画像生成AI

画像生成AIとは、ユーザーが提供したテキスト記述などに基づいてリアルな画像やアートワークを生成する技術です。GAN(敵対的生成ネットワーク)などの技術を使用して、非常にリアルな画像を生成できます。MidjourneyやDALL-Eが代表的なツールです。

音声生成AI

音声生成AIとは、テキストを自然な音声に変換する技術です。テキスト音声変換(TTS:Text to Speech)技術を使用して特定の声質を模倣することができるため、ナレーションやアシスタントの音声などに利用されています。具体的なツールとしては、Google Cloud Text-to-SpeechやResemble AIが代表的です。

動画生成AI

動画生成AIとは、静止画から動画を作り出したり、既存の映像に新しい要素を付け加えたりする技術です。RunwayやLumaといったツールを活用することで、アニメーションや教育ビデオなどを作成できます。

生成AIの仕組みと技術

生成AIのサービスを実現するために、以下のような技術が活用されています。

  • ディープラーニング(深層学習)
  • GAN(敵対的生成ネットワーク)
  • トランスフォーマー(Transformer)
  • 拡散モデル(Diffusion Model)

ここでは、生成AIの仕組みと技術についてご紹介します。

ディープラーニング(深層学習)

ディープラーニングとは、人工知能の一分野であり、人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化した多層のニューラルネットワークを使用してデータの特徴を学習する技術です。画像認識や音声認識、自然言語処理など、さまざまな分野で応用されています。
ディープラーニングモデルは大量のデータを入力として受け取り、そのデータからパターンや特徴を抽出することが特徴です。画像生成やテキスト生成が可能となり、例えば写真のようにリアルな画像を生成したり、自然な文章を作成したりできます。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

GAN(Generative Adversarial Networks)とは、生成ネットワークと識別ネットワークの2つのネットワークを用いて競い合うように学習を進めることで、よりリアルなデータを生成する技術です。生成ネットワークは新たなデータを生成する一方で、識別ネットワークは当該データが本物か偽物かを見極めます。
このプロセスを繰り返すことで、生成ネットワークはリアルなデータを生成する能力を向上させることが可能です。例えば、GANを用いることで、実際には存在しない人物の顔写真を生成したり、風景画像を作成したりできます。

トランスフォーマー(Transformer)

トランスフォーマーは、特にテキスト生成において重要な技術で、長い文脈を理解し、自然な文章を生成することが可能な技術です。自己注意機構(Self-Attention Mechanism)を活用することで、入力データ内の異なる部分同士の関係を効率的に把握できます。

例えばChatGPTは、トランスフォーマー技術を基に開発されており、大量のテキストデータを事前に学習することで、高度な文章を生成できることが特徴です。ユーザーの質問に対する自然な応答を生成したり、創造的な文章を作成したりできます。

拡散モデル(Diffusion Model)

生成AI-Generative AI_diffusion model
拡散モデルとは、データ生成のプロセスを段階的なノイズ付加とノイズ除去のステップを通じて学習する技術です。このモデルは主に「拡散過程」と「逆拡散過程」の2つのプロセスから構成されます。拡散過程では、元のデータに徐々にノイズを加えていき、最終的には完全にノイズ化された状態に変換します。逆拡散過程では、このノイズ化されたデータから少しずつノイズを除去し、元のデータを復元する方法を学習します。このように、ノイズの付加と除去を繰り返すことで、高品質なデータを生成する能力を獲得します。例えば、テキストからの画像生成、音声や動画の生成などができます。

生成AIのメリットとデメリット

生成AIは非常に便利な反面、注意しなくてはならない点もあります。
ここでは、生成AIのメリットとデメリットを確認しておきましょう。

メリット

生成AIの最大のメリットは、作業の自動化と効率化です。反復的なタスクをAIが担うことで生産性が向上し、コストが削減されます。

例えば、文書作成やデータ入力、顧客応対などの業務を迅速かつ正確に行えるようになります。
また、技術に対するハードルの低下も重要なポイントです。AIツールの支援により、専門的な知識がなくてもコンテンツ生成やプログラミングが可能になり、より多くの人々が技術を活用できるようになります。
さらに、クリエイティブな作成の可能性も広がることでしょう。生成AIはアート、音楽、文学などで独創的なアイデアやスタイルを提供し、新しいクリエイティブな作品を生み出す一助となります。

デメリット

生成AIにはいくつかのデメリットも存在します。

まず、雇用の変革と倫理的問題です。生成AIが多くの業務を自動化することで、一部の職業が不要になる可能性があり、雇用に影響を与えることが考えられます。
また、セキュリティリスクとプライバシーの問題も重要な課題です。生成AIが扱うデータが不正に利用されるリスクや、プライバシーが侵害される可能性があります。さらに技術的な課題として、誤った情報を生成するリスクや、バイアスが含まれる可能性もあります。
加えて、著作権などの権利関係の問題も無視できません。生成AIが生成するコンテンツが既存の著作物に似ている場合、著作権侵害のリスクがあります。また、生成されたコンテンツの権利が誰に帰属するのかが不明確な場合もあり、法的なトラブルが発生する可能性があることもデメリットです。

生成AIの活用事例

生成AIは、具体的にはどのように活用されているのでしょうか。
ここでは、さまざまな業種・業界における生成AIの活用事例をご紹介します。

製造業での活用例:パナソニック ホールディングス

パナソニック ホールディングスは、電動シェーバーのモーターの構造をゼロベースで考案する、生成AIによる設計手法を開発しました。
具体的には、設計した構造の性能をシミュレーションし、結果から構造を改善するというプロセスを生成AIが自動的に繰り返すシステムを構築しています。生成AIが設計した新構造のモーターは、熟練技術者による最適設計と比較して、出力がおおむね10~40%ほど上回っているという結果が出たそうです。

土木・建築業での活用例:大林組

大林組では、大まかな形状を描いたスケッチや3Dモデルをベースに、建物の外観デザイン案を複数提案してくれる生成AIを活用したツールを開発しています。さまざまなデザインをAIに学習させたことにより、異なるファサードデザインを瞬時に何個でも生成することが可能です。
また、設計用プラットフォームHyparと連携することにより、3Dモデルを作成することもできます。従来はアイデア出しからデザイン案の作成まで、設計者によって手作業で行われていたため準備に時間と手間がかかっていたところ、迅速なデザイン生成が可能になりプロセスが省略されました。

広告業界での活用例①:サイバーエージェント

サイバーエージェントは、商品画像の自動生成を行うデジタル広告制作支援システム「極予測AI」を導入しています。同システムを活用することで、広告制作の時間とコストを大幅に削減し、デザイン担当者の負担軽減に成功しました。デザイナーはより創造的な業務に集中できるようになり、企業全体の生産性が向上したそうです。

広告業界での活用例②:ディップ

ディップは社内組織「dip AI Force」を立ち上げ、全社員の約60%以上が生成AIを利用しているそうです。業務効率が大幅に向上し、社員一人ひとりがより効果的に仕事を進められる環境が整っています。生成AIの活用により、日常業務の自動化やデータ分析の迅速化が実現され、企業全体のパフォーマンスが向上しました。

教育業界での活用例:ベネッセ

ベネッセは、小学生の自由研究をサポートするために生成AI 「ChatGPT」の技術を活用した「自由研究おたすけAI」というサービスをリリースしました(2023年9月サービス終了)。子どもたちは自由研究にかける時間や興味のあるジャンルを入力するだけで、研究テーマや進め方、資料の集め方など具体的なアイデアを提案してもらうことができるサービスです。自分の興味や関心に基づいた学びを進められるようになるため、より深い学びを得られとされています。

生成AIを有効活用して生産性向上につなげよう

生成AIは、文章、画像、音声、動画などを自動生成する技術で、生産性向上に大きく寄与します。文章生成AIや画像生成AI、音声生成AIや動画生成AIなどの種類があり、それぞれが業務の効率化をサポートすることが可能です。
例えば、文書作成やデータ入力を自動化し、時間とコストを削減できます。さらに、クリエイティブな分野でも生成AIが活用され、新しいアイデアや作品の創出を促進することもメリットです。ただし、著作権やプライバシーなどには注意しなければなりません。

シリコンスタジオでも、生成AIを活用した3Dグラフィックス技術について、研究・開発テーマとして取り組んでいます。いくつかのテーマは公開されていますので、ご興味ある方はぜひご参照ください。
関連ページ:Silicon Studio「研究開発

■著者プロフィール:シリコンスタジオ編集部

自社開発による数々のミドルウェアを有し、CGの黎明期から今日に至るまでCG関連事業に取り組み、技術力(Technology)、表現力(Art)、発想力(Ideas)の研鑽を積み重ねてきたスペシャリスト集団。これら3つの力を高い次元で融合させ、CGが持つ可能性を最大限に発揮させられることを強みとしている。

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