建築・土木業界
2024.07.24
i-Construction 2.0とは?国土交通省が推進する「3つの柱」が課題解決に導く
2024年4月、国土交通省は2040年度までに建設現場で3割の省人化、生産性1.5倍向上、建設現場のオートメーション化を実現するために「i-Construction 2.0」を策定すると公表しました。
i-Construction 2.0には、建設現場の課題解決に帰する3つの柱が掲げられているのが特徴です。
本記事では、i-Construction 2.0の概要、建設業界の課題、i-Construction 2.0の施策とこれにより解決が期待されていることを解説します。
i-Construction 2.0とは
そもそも「i-Construction 2.0」とは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは、i-Constructionとの違いや、目標値についてご紹介します。
i-Construction 2.0の概要
i-Construction 2.0とは、日本の建設現場の生産性向上と働き方改革を目的として、国土交通省が推進する施策です。
特に、建設現場のオートメーション化に焦点を当てています。
i-Constructionとi-Construction 2.0の違い
i-Constructionは2016年に開始され、ICTを活用した建設現場の生産性向上を目指していました。
主に、測量やデータ管理のデジタル化が含まれていたのが特徴です。
一方、i-Construction 2.0は、i-Constructionの取り組みをさらに進化させ、建設現場のオートメーション化を推進することで、生産性をさらに向上させることを目指しています。
例えば、施工の自動化やデータ連携のオートメーション化、施工管理のオートメーション化といった施策を励行している点が特徴です。
i-Construction 2.0の目標値
i-Construction 2.0には、以下のような目標値が設定されています。
省人化による生産性の向上
2040年度までに建設現場の省人化を最低でも3割進め、生産性を1.5倍に向上させることを目指しています。
作業環境の安全性向上
建設現場での人的被害を削減し、より安全な作業環境を実現することを目標としています。
職場環境の整備と多様な働き手の確保
快適な環境での作業を目指し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を促進します。
給与水準の底上げや休暇率向上
建設現場で働く一人ひとりの生産量や付加価値を向上させ、国民生活や経済活動の基盤となるインフラを守り続けることを目指しています。
これらの目標は、日本の建設業界における人手不足の問題に対応し、持続可能なインフラ整備・維持管理を実現するために重要です。
i-Construction 2.0はデジタル技術を駆使して、少人数でも安全かつ快適に働ける生産性の高い建設現場を目指しています。
また、建設業界のイメージ改善と若年層の確保も期待されています。
出典:国土交通省「「i-Construction 2.0」を策定しました ~建設現場のオートメーション化による生産性向上(省人化)~」
出典:国土交通省「i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化に向けて~」
出典:国土交通省「i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化~」
建設業界の課題
i-Construction 2.0の背景には、日本の建設業界が直面している複数の課題があります。
これらの課題は、i-Construction 2.0の施策がなぜ必要か、そしてどのような目的を達成しようとしているかを理解するうえで重要です。
以下で主な課題をご紹介します。
生産年齢人口の減少
2040年度には、2020年度比で約2割の減少が予測されています。
その結果、深刻な労働力不足を招き、建設業界における生産性の低下につながる可能性が高いでしょう。
自然災害の激甚化・頻発化
日本は自然災害が多い国であり、災害による被害が増加しています。
そのため、インフラの維持管理や復旧作業のニーズが高まっている状況です。
社会資本の老朽化
日本では、高度経済成長期以降に整備されたインフラが老朽化しており、これらの維持管理も急務な課題です。
特に、建設後50年以上経過する施設の割合が急速に増加しています。
働き方改革の必要性
建設業界では、長時間労働や過酷な労働環境が問題となっており、働き方改革が求められています。
また、多様な働き手の確保も重要な課題です。
出典:国土交通省「i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化に向けて~」
出典:国土交通省「「i-Construction 2.0」を策定しました ~建設現場のオートメーション化による生産性向上(省人化)~」
i-Construction 2.0の3つの施策の柱
i-Construction 2.0の取り組みにおける3つの施策の柱は、建設業界における生産性の向上と効率化を目指す重要な要素です。
各柱は相互に連携し、建設プロセスの全体最適化を実現することが期待されています。
ここでは3つの施策の柱について、それぞれ解説します。
1.「施工のオートメーション化」
建設現場での作業を機械化・自動化することにより、人手に頼ることなく効率的かつ安全に作業を進めることを目指す施策が、施工のオートメーション化です。
このアプローチにより、作業の精度が向上し、建設期間の短縮とコスト削減が期待されます。
2.データ連携のオートメーション化
建設プロジェクトに関わる多様なデータを一元管理し、リアルタイムでの情報共有を実現する施策がデータ連携のオートメーション化です。
プロジェクトの進捗管理が容易になり、意思決定の迅速化と情報の透明性が向上します。
3.施工管理のオートメーション化
施工管理のオートメーション化は、建設現場の管理をデジタル化し、プロジェクト全体の効率を高めることが目的です。
スケジュール管理、資材管理、人員配置などの複雑なタスクを自動化することで、より正確でスムーズな施工管理が可能になります。
出典:国土交通省「i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化に向けて~」
出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
出典:国土交通省「建設業を巡る現状と課題」
出典:国土交通省「i-Constructionの推進」
出典:国土交通省「「i-Construction 2.0」を策定しました ~建設現場のオートメーション化による生産性向上(省人化)~」
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関連ページ:Silicon Studio「建築・土木業界向け製品・ソリューション」
建設業界の課題解決を促進し生産性向上を実現しよう
国土交通省は2040年度までに建設現場の省人化を3割、生産性を1.5倍向上、オートメーション化を目指す「i-Construction 2.0」を発表しました。
この施策は、建設現場の課題解決に向けた3つの柱である「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」に基づいています。
i-Construction 2.0の背景にあるのは、労働力不足、自然災害の激甚化、インフラの老朽化、働き方改革の必要性といった課題です。
建築/土木業界に携わる企業が、これらの課題に対応し、安全かつ快適に働ける生産性の高い建設現場の実現を目指すことが必要です。
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■著者プロフィール:シリコンスタジオ編集部
自社開発による数々のミドルウェアを有し、CGの黎明期から今日に至るまでCG関連事業に取り組み、技術力(Technology)、表現力(Art)、発想力(Ideas)の研鑽を積み重ねてきたスペシャリスト集団。これら3つの力を高い次元で融合させ、CGが持つ可能性を最大限に発揮させられることを強みとしている。
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