都市モデル「PLATEAU(プラトー)」とは!?特徴や活用を解説

建築・土木業界

2024.09.06

都市モデル「PLATEAU(プラトー)」とは!?特徴や活用を解説

2020年12月に発足した国土交通省が主導する日本全国の都市の3Dモデル化プロジェクトが「PLATEAU(プラトー)」です。
PLATEAUの3D都市データはさまざまなシーンで活用が可能なため、ビジネスに取り入れる企業が増えています。

本記事では、PLATEAUの特徴や可能性、具体的なプロジェクト、活用事例についてご紹介します。

PLATEAUの概要

PLATEAUとは2020年12月に発足し、国土交通省が主導で推進する日本全国の都市を3Dモデル化するという都市デジタルツイン実現プロジェクトです。
さまざまなプレイヤーと連携して都市の建物や街路の3次元形状をCGモデルで再現することにより、まちづくりのDXを進めます。

PLATEAUは、地理空間データを活用するプラットフォームで、名称や用途、建設年などの情報を付与したオープンデータとして提供されています。誰もが都市データを自由に取得して活用できるのが特徴です。
さまざまな分野でPLATEAUを活用した新たなサービスやイノベーションの創出が進んでいます。

出典:国土交通省/Plateau by MLIT「About

PLATEAUの特徴

当初、PLATEAUは全国56都市の都市空間を3Dモデル化して再現していました。
現在は、2027年度までに約500都市に拡大し、将来的には全国整備を目指して整備範囲の拡大を継続する計画です。

ここでは、PLATEAUの主な特徴をご紹介します。

GISの活用

GIS(Geographic Information System:地理情報システム)とは、地理情報を表示するためのソフトウェアです。
PLATEAUでは、GISを利用することで、対象となる土地データや建築物データと3D都市データを重ね合わせて表示できます。
それにより、位置情報を含むデータを空間的な特性を用いて分析することが可能です。
具体的な例としては「高さが特定のメートル数以上のビルを見つける」「特定の地点から建物などに遮られずに見える範囲を調べる」といったケースが挙げられます。

CityGMLの活用

CityGMLは、3D都市モデルを詳細な表現レベルに応じて記述するためのXMLベースのデータ形式です。
建築物の形状や詳細度を表現するために使用されます。
PLATEAUの3D都市モデルは、CityGML形式で提供されているのが特徴です。

LODレベルによる表現



-引用- 国土交通省/Plateau by MLIT「TOPIC 1|3D都市モデルでできること[2/2]|3D都市モデルの特徴と活用法」図 1-7 LODによる詳細度の違い

LOD(Level of Detail)とは、3D都市モデルの詳細度を示す指標です。
LOD0からLOD4までの5段階があり、レベルが上がるほど建物のデータが詳細に表示されます。
LOD0は平面図を示し、LOD1では建物を立体として表現する仕様です。
LOD2では壁や屋根の面から構成される立体が建物として表示されます。

PLATEAU VIEW 3.0

PLATEAU VIEW 3.0とは、PLATEAUのデータをウェブ上で可視化するためのブラウザベースのWebGISです。
2024年4月に公開され、作図機能やGoogle Street Viewとの連携機能、太陽光シミュレーション、ヒートマップ表現などが利用できます。
本システムは、3D都市モデルデータやGISデータを軽量かつ高速に扱え、グラフィックボードの高速な計算・描画機能を活用している点が特徴です。

出典:国土交通省「Project PLATEAU PLATEAU VIEW 3.0を公開しました!
出典:国土交通省「3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化の推進(Project PLATEAU)

PLATEAUで可能なこと・ユースケース

PLATEAUは現在、さまざまなシーンで活用が進んでいる状況です。
ここでは、PLATEAUでできること、および活用ユースケースをご紹介します。

建築物の材質や築年数の情報がわかる


PLATEAUの3D都市モデルは、建物や街路の用途、築年数、行政計画などの「意味」情報を持っています。
そのため、個々の建物の詳細情報を視覚的に把握することが可能です。
例えば、高さ情報と組み合わせて、垂直避難を視野に入れた防災計画を立てやすくなります。

属性情報を基に建物を色分けして表示できる

PLATEAUの3D都市モデルは意味情報を持っており、建物の属性に応じた色分け表示が可能です。
これにより、建物の用途や特性を視覚的に理解しやすくすることができます。

都市計画の立案、シミュレーション

PLATEAU は3D都市モデルを活用した都市計画の立案や、計画のシミュレーションに活用できます。
具体的な土地利用や建物配置のシミュレーションを行い、効率的な都市づくりを支援することが可能です。

防災や防犯の対策、シミュレーション

PLATEAUの3D都市モデルを活用して、防災や防犯のシミュレーションも行えます。避難計画や犯罪予防策を詳細にシミュレーションすることで、より効果的な対策を立てることが可能です。

3D都市モデルの詳細は、以下の記事もご参照ください。
関連ページ:Silicon Studio「設計・計測データや都市モデルとゲームエンジンで実現する、リアルタイム3D都市空間ビジュアライゼーション

PLATEAUは具体的にはどのように活用すればよいのでしょうか。
以降では、PLATEAUの具体的な活用例を7つご紹介します。

災害情報を統合するプラットフォーム作成

PLATEAUの3D都市モデルを活用して、災害情報を統合するプラットフォームを構築できます。
地震や洪水、台風などの災害時に避難経路や被災地の状況をリアルタイムで可視化し、効率的な対応をサポートすることが可能です。
例えば、避難所の混雑状況や交通インフラの被害状況を一元管理できます。


3D都市モデルとシミュレーションゲームとの組み合わせ

シミュレーションゲームとPLATEAUの3Dモデルを組み合わせることで、都市計画や災害対策のトレーニング、教育プログラムなどを開発できます。
具体的には、災害時の避難訓練や都市開発のシミュレーションをゲームで体感できるアプリケーションを開発し、提供することなどが可能でしょう。

都市AR空間とメタバースの連携プラットフォーム

PLATEAUのデータをAR空間やメタバースに統合することで、都市の情報をリアルタイムで提供できるプラットフォームを構築できます。
例えば、スマートグラスを使って歩行者に案内情報を表示したり、仮想空間で都市の未来像を体験できるようにしたりすることも可能です。

都市OSと連携した都市政策シミュレーション

PLATEAUの3Dモデルを都市OSと連携させ、都市政策のシミュレーションを行うことも可能です。
交通改善や施設配置などの政策決定に活用できます。
例えば、新しい公共施設を建設する場所や交通インフラの最適化を検討する際に役立つでしょう。

出典:国土交通省/Plateau by MLIT「ユースケース開発ガイド – 自治体編|01. PLATEAUって?
出典:国土交通省/Plateau by MLIT「ユースケース開発ガイド – 自治体編|03. PLATEAUを有効に活用した3つの事例
出典:国土交通省/Plateau by MLIT「TOPIC 0|はじめに
出典:国土交通省/Plateau by MLIT「ユースケース開発ガイド – 自治体編|INTRODUCTION|PLATEAU を使ったプロジェクトを立ち上げるには
出典:国土交通省/Plateau by MLIT「PLATEAUの3D都市モデルを活用したユースケースの紹介

シリコンスタジオではPLATEAUの活用による「3D都市空間ビジュアライゼーション」が可能


シリコンスタジオではPLATEAUを活用した「3D都市空間ビジュアライゼーション」によるさまざまなアプリケーション開発が可能です。
PLATEAUでは、屋根や外壁のテクスチャがなく見た面が豆腐のような真っ白な箱モデル(LOD1)の建物がまだ多数を占めています。

シリコンスタジオでは、LOD1の建物について、最適なテクスチャライズを施したり、窓・ドアを自動生成し、実画像を入力としてビルの色を自動計算する技術開発にも取り組み、検証を進めているところです。
また、道路標識や車両、人物などを含む独自開発の高品質な市街地アセットモデルをPLATEAUに配置することで、フォトリアルにビジュアライズされた都市空間のデジタルツインを構築することができます。

関連ページ:Silicon Studio「設計・計測データや都市モデルとゲームエンジンで実現する、リアルタイム3D都市空間ビジュアライゼーション

PLATEAUの3D都市データを有効活用しよう

PLATEAUは、国土交通省主導の都市デジタルツインプロジェクトで、日本全国の都市を3Dモデル化しています。
GISやCityGMLの活用、詳細なLODレベルによる表現などが可能となり、都市計画、防災対策、シミュレーションゲームなどさまざまなシーンでの活用が進んでいる状況です。
3D都市データは、建築物の材質や築年数、災害情報統合プラットフォーム作成など、ビジネスの成長に寄与する多くの可能性を秘めています。

シリコンスタジオでは、PLATEAUの活用を支援するソリューション・技術を数多く提供しております。
PLATEAUの活用を検討している事業者の方は、シリコンスタジオにお任せください。

■著者プロフィール:シリコンスタジオ編集部

自社開発による数々のミドルウェアを有し、CGの黎明期から今日に至るまでCG関連事業に取り組み、技術力(Technology)、表現力(Art)、発想力(Ideas)の研鑽を積み重ねてきたスペシャリスト集団。これら3つの力を高い次元で融合させ、CGが持つ可能性を最大限に発揮させられることを強みとしている。

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