ポリゴンは3Dモデルの最小単位。構成や特徴を知っておこう

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2024.08.23

ポリゴンは3Dモデルの最小単位。構成や特徴を知っておこう

「ポリゴン」と聞いて、皆様は何を思い浮かべるでしょうか。
初めて聞く言葉という方も多いかもしれませんが、コンピューターゲームで遊んだことがある方や3Dグラフィックスに少しでも触れたことがある方であれば、なんとなく3Dで作られたCGのイメージが思い浮かぶかもしれません。

本記事では、ゲーム・エンターテインメント分野でのコンテンツ開発から製造・重工業、自動車・モビリティ、土木・建築といった産業分野におけるBIM/CIM、点群データの活用やデジタルツイン、メタバースなどによるDX推進に至るまで、3Dモデル化による可視化を図るうえで知っておきたい「ポリゴン(Polygon)」についての基本的な内容をご紹介します。

ポリゴンとは

ポリゴンとは、英語で「多角形」を意味する言葉です。
3点以上の頂点を結んでできた多角形データで、曲面を構成する最小単位といえます。
ポリゴンの集合体は3Dモデルと呼ばれており、3DCGにおいて立体の表面を構成する小さな多角形として使われます。

コンピュータで立体図形を表現する際、曲線や曲面をそのまま扱うと計算量が多く処理が困難なため、頂点と辺で囲まれた多角形のポリゴンを組み合わせて表現することが一般的です。実際には、計算がしやすく面や辺のねじれが発生しない三角形が多く使われます。

ポリゴンは、ゲーム開発や産業分野におけるBIM/CIM、点群データの3Dモデル化やデジタルツイン、メタバースによるバーチャル空間の構築などにおいて、無くてはならない構成要素として重要な役割を果たしています。

ポリゴンの構成要素

ポリゴン 構成要素

ポリゴンは「頂点・辺・面」という3つの要素で構成されます。
これらの要素が組み合わさることで、3Dモデリングやゲーム開発などで使用される複雑なポリゴンモデルの作成が可能となります。

ここでは、ポリゴンの構成要素について、もう少し詳しく紹介していきます。

頂点

ポリゴンの基本的な構成要素である頂点は、三次元空間上の任意の一点を指します。
これらの点は頂点と呼ばれ、その位置は位置ベクトルとして定義されるのが特徴です。
頂点の集合が空間内で形成する立体図形は、その頂点間を結ぶ辺によって定義され、頂点の数や配置によって、ポリゴンの形状や大きさが決まります。

辺は、頂点と頂点を結ぶ線のことを指します。これらの線はポリゴンの形状を定義するために使用される要素です。
頂点間の距離と角度によって特徴付けられ、これによりポリゴンの形状が決定されます。

また、辺の数と配置によって、ポリゴンが表現する立体の複雑さが決まります。

面は、3つ以上の頂点によって形成される平面図形のことを指し、3Dモデルの表面を形成する要素です。
面の形状や大きさは、その形成する頂点の位置と数によって決まり、面の数と配置によって、ポリゴンが表現する立体の詳細度が決まります。

ローポリゴンとハイポリゴン

ポリゴンが大きいほど1つの面積も大きくなり、細かく(数が多く)なるほど滑らかな描画が可能です。
しかし、その分レンダリング(編集・制作したデータを処理もしくは演算することで画像や映像などを画面に表示できる状態にする)時間が長くなるのが課題です。
そのため、用途に応じてローポリゴンとハイポリゴンを使い分ける必要があります。

以下で、ローポリゴンとハイポリゴンの特徴を確認しておきましょう。

ローポリゴンの特徴

ローポリゴンとは、処理を軽くするためにポリゴンの数が少ないモデルを指し、略して「ローポリ」とも呼ばれます。
主にグラフィックス処理が低スペックの環境やゲームなどのリアルタイム処理で使用されることが一般的です。
遠くに映るオブジェクトや群衆シーンなどにも適しており、映像制作でも利用されることがあります。

ハイポリゴンの特徴

ハイポリゴンは、緻密で滑らかな描画のためにポリゴン数を多くしたモデルです。略して「ハイポリ」とも呼ばれます。
フォトリアルで精密なモデルを作成する際に使用され、グラフィックス処理が高スペックの環境や、レンダリングに時間をかけるプリレンダリングで活用される場合が比較的多いです。

また、オブジェクトを滑らかにする、サブディビジョンサーフェイスモデリングなどで使われるケースもあります。

三角形ポリゴンと四角形ポリゴン

ポリゴンは三角形か四角形が基本であり、通常は四角形ポリゴンが使用されます。
ここでは、三角形ポリゴンと四角形ポリゴン、トポロジーについて紹介していきます。

三角形ポリゴン

三角形ポリゴン

3つの頂点と3つの辺を持つ基本的なポリゴンです。
三角形は平面上で最も単純な形状であり、直線の組み合わせで構成されます。
クオリティにあまり影響を与えないポリゴンを減らすときには、三角形ポリゴンが役立つでしょう。

四角形ポリゴン

四角形ポリゴンとは、4つの頂点と4つの辺を持つポリゴンです。
長方形、正方形、平行四辺形など、さまざまな種類の四角形があります。
四角形ポリゴンは面の流れがイメージしやすく、モデルを変形させる際に都合が良い点がメリットです。

その他のポリゴン

その他のポリゴンの種類として、ここでは「五角形ポリゴン」「凸型ポリゴン」について紹介していきます。

五角形ポリゴン

五角形ポリゴンは、5つの頂点と5つの辺を持つポリゴンです。
星型や正五角形などの複雑な形状を形成できます。

凸型ポリゴン

凸型ポリゴンは、その内部または境界にある任意の2点間を結ぶ線分が、そのポリゴンの外に出ることがないポリゴンを指します。
つまり、ポリゴンの内側においてどの2点を取っても、それらを結んだ線分がポリゴンの外側に出ないのが特徴です。
視覚的にいえば、凸型ポリゴンの境界は、輪ゴムがオブジェクトの集まりを取り囲む形のようになります。

トポロジーとは

3Dモデリングにおける「トポロジー」は、ポリゴンの配置と結合方法を指し、3Dモデルの幾何学的な表面特性を形成する要素を表します。
つまり、ポリゴンの面の流れのことです。
トポロジーの見やすさは、できあがりのクオリティに影響します。

3Dモデルのトポロジーは、頂点、エッジ、面を使ってサーフェスを形成し、応用することです。
綿密に設計されたトポロジーはポリゴンが均等に配置され、サーフェスがスムーズに変化するほか、モデルの形状や意図した動きに適応するエッジの流れを持っています。

また、ハイポリゴンとローポリゴンでは望ましいトポロジーが変わります。

ポリゴンを利用するときの注意点

ポリゴンを利用するときには、以下の点に注意しなくてはなりません。

  • ポリゴン数の管理
  • ポリゴンの最適化
  • スムージングの活用
  • 最適なツールの選択

それぞれの内容を、以下で確認しておきましょう。

ポリゴン数の管理

ポリゴン数が増えるとモデルは滑らかになりますが、パソコンへの負荷やレンダリング時間が増加します。
そのため、必要最低限のポリゴン数を使用しなくてはなりません。

ポリゴンの最適化

ポリゴンを適切に分割することで、頂点の数を減らし、パソコンへの負荷を軽減したり、レンダリング時間を短縮したりできます。
ただし、頂点数の多いポリゴンを分割すると、オブジェクトの形が変形する可能性が高いでしょう。

スムージングの活用

スムージングとは、ポリゴン数を増やさずに平面図形を滑らかにする手法です。
最小限の頂点数でも滑らかな曲面を作れるため、モデルの場所によっては有効な手法だといえます。

最適なツールの選択

使用する3DCG制作ソフトやゲーム開発エンジンによって、処理できるポリゴン数には差異があります。
したがって、適切なツールを選択することも重要です。

ポリゴンは3Dモデルによる可視化において基本となる重要な技術

ポリゴンは、3Dモデルを構成する多角形で、頂点、辺、面から成り立ちます。
ポリゴンメッシュは3Dオブジェクトを形成し、三角形や四角形のポリゴンが一般的です。
多くのポリゴンを使用するハイポリゴンは精細な表現に適し、少ないポリゴンで構成するローポリゴンはできるだけ負荷を軽減したいリアルタイム処理に優れています。

トポロジーは、ポリゴンの配置と結合方法を指し、モデルの品質に影響を与えます。
ポリゴンは、ゲーム・エンタテインメント分野でのコンテンツ制作から産業分野でのBIM/CIM、点群データによるモデル化、デジタルツイン、メタバースによる仮想空間の構築において基本的な構成要素となる、重要な役割を果たす技術であることを知っておきましょう。

シリコンスタジオでは、ゲーム・テインメントから製造・重工業、自動車・モビリティ、土木・建築などの産業分野に至るまで、さまざまな業界における3Dグラフィックス活用の課題を解決するソリューション・技術を数多く提供しております。
3Dグラフィックス活用における課題解決を検討したい方は、お気軽にご相談ください。

■著者プロフィール:シリコンスタジオ編集部

自社開発による数々のミドルウェアを有し、CGの黎明期から今日に至るまでCG関連事業に取り組み、技術力(Technology)、表現力(Art)、発想力(Ideas)の研鑽を積み重ねてきたスペシャリスト集団。これら3つの力を高い次元で融合させ、CGが持つ可能性を最大限に発揮させられることを強みとしている。

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