製造業におけるデザインレビュー。目的と進め方のポイント

製造業界

2024.08.16

製造業におけるデザインレビュー。目的と進め方のポイント

製造業におけるデザインレビューは、想定した品質とコストを確保した商品の製品化を実現させるために不可欠な仕組みです。
商品が仕様通りに出荷され、顧客に問題なく利用してもらうためには、欠かせないプロセスといえます。

本記事では、製造業におけるデザインレビューの目的、デザインレビューの重要性や進め方などについてご紹介します。

デザインレビューとは

はじめにデザインレビューの定義と実施目的を確認しておきましょう。

デザインレビューの定義

デザインレビューとは、製品開発における企画・構想・設計・試作といった製品化のための各開発プロセスで次に進む前段階で行われる評価機会のことです。
ISO9000シリーズやJISにおいて定義されている「設計審査」を意味します。
フェーズごとに繰り返し実施しながら製品の設計と開発が品質基準を満たしていることを確認し、必要な改善が特定された場合は対策を講じることになります。

デザインレビューは、次の設計開発ステップへの移行が適切かどうかを判断する活動と機会です。製品のライフサイクル全体にわたる設計アウトプットとプロセスに対して、品質の観点から妥当性を判断する業務であり、製品やサービスの品質向上はもちろん、開発期間の短縮やコスト削減といった効果も期待できるため、開発効率を高める重要なプロセスといえるでしょう。

デザインレビューの実施目的

デザインレビューを実施する目的は、商品QCD(品質・コスト・納期)の確実な達成を目指すことです。
設計根拠を明確にし、技術的視点から設計の適切性と効率性を確認するだけではなく、開発部門以外のプロダクトライフサイクル全体に関わる者も参加して設計情報を審議することにより、完成に向けて製品の品質をより確かなものにしていきます。

また、後戻りを防ぎ、品質ロスコストを削減することも目的となります。
デザインレビューを実施することは、後工程での無駄をなくし、製品のライフサイクル全体でのコストと時間の節約につながります。

製造業がデザインレビューを行うメリット

デザインレビュー

デザインレビューを実施することで、製造業を営む企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、製造業でデザインレビューを行うメリットをご紹介します。

メリット①:品質を担保でき製品価値が高まる

設計段階でデザインレビューを実施し、製品の品質を向上させることができます。
具体的には、設計の妥当性や適切性を審査し、製品やサービスの潜在的な問題点や不備を早期に発見することで、製品の品質を担保することが可能です。
また製品の寿命を延ばすだけでなく、信頼性と耐久性を向上させることにもつながり、さらに高品質の製品は顧客満足度を高め、競争力の強化にもつながるでしょう。

メリット②:開発の後戻りがなく納期までの期間を短縮できる

デザインレビューはフェーズごとに実施され、設計の進捗を確認する業務です。
問題を早期に発見し、修正を図ることにより、放置したまま開発を進めてしまった場合に発生する開発の後戻りを防ぎます。
開発スケジュールを効率的に進め、納期までの期間を短縮することが可能となるため、開発コストの削減やリスクの軽減にもつながります。

メリット③:開発する製品やプロジェクトに一貫性を持たせられる

デザインレビューは各フェーズで製品の仕様や目的、ターゲットユーザーなどの整合性を確認します。
そのため、製品のコンセプトやプロジェクト全体に一貫性を持たせられるのがメリットです。
一貫性のある設計はブランドイメージにブレを生じさせず、顧客に信頼感も与えます。
市場での地位を強化するための重要な要素です。

メリット④:製品・サービス・企業の競争力向上につながる

コストの削減につながる品質の確保や効率的な開発プロセスは、企業の競争力を高めます。
デザインレビューを通じて、優れた製品を提供し、市場で差別化を図れることもメリットです。
子役満足度が高まり、企業の成長と収益性を向上させ、長期的な成功につながります。

メリット⑤:開発力を強化できる

デザインレビューは設計者のスキル向上にも寄与します。
開発部門以外のメンバーとの議論を通じて知識や経験を共有し、設計力を高めることが可能です。
設計者の能力を向上させ、新たなアイデアや革新的な解決策を生み出す能力を強化します。
企業の競争力を高め、市場での競争力を強化するための重要な要素といえるでしょう。

製造業のデザインレビューのやり方・4つのフェーズ

一般的には、製造業のデザインレビューのやり方には、以下4つのフェーズがあります。

  1. 商品企画DR
  2. 構想設計DR
  3. 詳細設計DR
  4. 試作評価DR

それぞれの目的と内容を、以下で確認しておきましょう。

1.商品企画DR

商品企画

商品企画DRは、新製品のアイデアやコンセプトを評価するためのフェーズです。
市場動向や要求、新商品を支える技術の状況を勘案しながら、魅力ある商品の狙いと概要を設定し、要求仕様にまとめていきます。

具体的には市場調査や競合分析、顧客ニーズの理解などをもとに、製品の基本的な仕様や機能、価格設定などを決定することが一般的です。
経営戦略に基づいた商品提供のロードマップを作成し、市場競争力を客観的に判断します。

2.構想設計DR

構想設計DRでは、商品企画で決定した仕様に従い、製品の基本設計を行います。
製品の形状やサイズ、材料選択、製造方法などの大まかな設計が行うフェーズです。

商品企画の目標値を達成するために、複数の技術セットの全体構成と採用技術の妥当性なども検証し、最も有望な構想案とQCD目標を設定します。
採用技術リストや構成図を用いて設計項目と達成レベルを報告し、品質項目を設定することが一般的です。

3.詳細設計DR

詳細設計DRは、構想設計で決定した基本設計を詳細化し、設計の妥当性や整合性を多角的に検証し、設計全体の検証を行うフェーズです。

具体的な部品の設計、組み立て方法、製造プロセスなどを決定し、詳細な設計情報を審議し、設計が到達すべきレベルに達していることを確認します。
また製品の品質、コスト、製造性などを考慮に入れた設計も行われます。

4.試作評価DR

試作評価DRは、詳細設計で決定した設計に基づいて製作した試作品を評価するフェーズです。

試作品の性能評価、耐久性試験、安全性評価などを行い、設計が適切であるかを確認し、設計検証モデルによる設計品質獲得を確認し、後戻りを防ぎます、
つまり商品QCDの確実な達成を狙い、次のフェーズに進むべきか判断することが施策評価DRの目的です。
このフェーズで問題が見つかった場合は、設計を見直すこともあります。

製造業のデザインレビューで審議したい内容

デザインレビューを実施する際には、どのような内容を審議すべきなのでしょうか。
ここでは、製造業のデザインレビュー実施において気を付けること、審議したいポイントについて紹介していきます。

設計の妥当性

デザインレビューを実施することで、設計書や図面などの成果物を複数の参加者で見直し、設計上の問題点がないか評価します。
設計の妥当性や整合性を多角的に検証し、現在の進行方法が適切かどうか判断しましょう。
製品やサービスの品質向上や開発期間の短縮、コスト削減を実現するためには、設計の妥当性を確認する作業は極めて重要です。

製品の品質に関する問題点の発見・修正

製品の品質特性を評価し、問題点を摘出することも、デザインレビュー時の重要な審議事項です。
具体的には、重要部品の課題対応策や検証法の妥当性などを検討します。
設計検証モデルによる設計品質の確認を行い、次のステップへ進むべきかを判断しましょう。

デザインレビューは製品化を成功させるために重要な要素

デザインレビューは製品開発の各フェーズで成果物を評価し、品質向上や効率化を図る重要なプロセスです。
設計の妥当性や品質に関する問題点を審議し、後戻りを防ぎます。
仕様通りに商品を製造、出荷し、顧客に満足してもらうために、デザインレビューは欠かせない業務です。

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関連ページ:Silicon Studio「デザインレビューソリューション

■著者プロフィール:シリコンスタジオ編集部

自社開発による数々のミドルウェアを有し、CGの黎明期から今日に至るまでCG関連事業に取り組み、技術力(Technology)、表現力(Art)、発想力(Ideas)の研鑽を積み重ねてきたスペシャリスト集団。これら3つの力を高い次元で融合させ、CGが持つ可能性を最大限に発揮させられることを強みとしている。

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