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2024.07.03
DXを実現させる3Dデジタルツイン。導入までのステップを知っておこう
不確実性の時代を生き抜くため、またIoTやAI、ロボティクスなどデータを扱う技術やセンサー類の発達で、改めて注目されている技術がデジタルツインです。
遠隔地でのコミュニケーションや計測、またロボットや自動車の自動運転、スマートシティの開発など、多岐にわたる目的での活用に注目が集まっています。
本記事では、デジタルツインとは何か、3Dデジタルツインで何が可能になるのか、活用までのステップと事例をご紹介します。
デジタルツインとは
デジタルツインとは、物理的なオブジェクトやシステムをデジタル上で正確に模倣し、そのデータを分析したり、シミュレーションをしたりすることや、問題を事前に予測・特定することを目的とした技術です。
現実世界の環境を双子のように再現した仮想空間で、IoTやAIなどの技術を用いたリアルタイムでのデータ活用やシミュレーションによって、将来の変化を予測することができます。
メタバースとの違い
メタバースは、人々がさまざまなコミュニケーションや経済活動を行える仮想空間を指します。
一方で、デジタルツインは現実の世界をそのまま仮想世界上に再現したモデルを指し、主にシミュレーションのために使用される点が違いです。
つまり、メタバースはアバターを介した人々の交流や経済活動が行われる場であり、デジタルツインは企業がシミュレーションを行うためのソリューションとして位置づけられています。
活用のメリット
デジタルツインを活用することで、品質の向上やリスクの削減、オペレーションの効率化、シミュレーションのリードタイムやコストの削減、アフターサービスの充実など、多くのメリットが得られます。
これにより、製品開発から製造ラインの最適化、アフターサービスの改善に至るまで、幅広いプロセスでの活用が進んでいる状況です。
3Dモデルによるデジタルツイン
3Dモデルによるデジタルツインとは、製品や製造ラインの3D形状と部品表(製品構成)を統合したデジタルモデルのことです。
これにより、物理空間の情報を仮想空間に正確に反映できるため、以下のような効果が期待できます。
製品開発の加速
3Dデジタルツインは、製品の設計段階で大きなメリットをもたらします。
仮想空間での試作により、物理的なプロトタイプを作成する前に、多くの異なるデザインや構成を迅速に試すことが可能です。
その結果、設計の反復が容易になり、最終製品の品質向上に寄与します。
また、潜在的な問題を早期に特定し、修正することで、市場への導入時間を短縮し、競争力を高めることが可能です。
運用の最適化
実際の運用データをもとにしたシミュレーションは、運用プロセスの最適化に不可欠です。
3Dデジタルツインを使用することで、エネルギー消費、材料の流れ、作業員の動きなど、さまざまな要素を考慮した運用計画を立てやすくなります。
これにより、生産性の向上、コスト削減、リソースの有効活用できるようになるでしょう。
メンテナンスの予測
センサーデータと3Dデジタルツインを組み合わせることで、機械や設備の状態をリアルタイムで監視し、故障の兆候を早期に検出することが可能です。
予測保全により、突発的な故障によるダウンタイムを減少させ、メンテナンスコストを削減できるでしょう。
カスタマイズの実現
3Dデジタルツインの活用により、顧客のニーズに応じたカスタマイズが容易になります。
顧客は仮想モデルを通じて製品のカスタマイズを行い、その結果を即座に確認することが可能です。
顧客満足度の向上、製品の市場適応性の強化が期待されます。
都市計画
都市の3Dデジタルツインは、交通、インフラ、公共サービスなどの都市機能の計画と管理に革命をもたらします。
シミュレーションを通じて、都市の成長や変化に伴う影響を予測し、持続可能な都市開発を推進することが可能です。
出典:東京都「デジタルツイン実現プロジェクト」
出典:総務省「デジタルツイン」
3Dデジタルツイン活用までの4ステップ
3Dデジタルツインを活用するためには、以下4つのステップが必要です。
それぞれの内容を確認しておきましょう。
1.データ収集
まず、現実世界からデータを収集します。
センサーやIoTデバイス、3Dレーザースキャナーなどを使用することが一般的です。
収集したデータはおもにクラウド上に保存され、デジタルツインの基盤となります。
2.モデル作成
収集したデータをもとに3Dモデルを作成します。
建物、都市、製造ラインなど、さまざまな対象を仮想空間に再現することが可能です。
モデルは物理的なシステムと統合され、リアルタイムで更新されます。
3.システム構築
次に、3Dデジタルツインを活用するためのシステムを構築します。
クラウドプラットフォームやデータベース、アプリケーションが含まれます。
シリコンスタジオではゲームエンジンを活用することで、リアルタイムで3Dデジタルツインを操作することが可能です。
4.シミュレーション・最適化
最後に、3Dデジタルツインを使用してシミュレーションを行います。
例えば、自動車の運転シミュレーションや建物のエネルギー効率の最適化などが挙げられます。
シミュレーション結果をもとに最適化を図ることで、品質向上やリスク削減を実現しやすくなるでしょう。
3Dデジタルツインの事例・ユースケース
工場や製造現場で始まった3Dデジタルツインの活用は、建築や都市開発、自動運転、医療など、さまざまな分野に広がっている状況です。
ここでは、3Dデジタルツインの代表的事例、ユースケースをご紹介します。
製造業でのユースケース
製造ラインで3Dデジタルツインを活用して、リアルタイムで異常検知や生産スケジュールの最適化を行い、生産性を向上させる事例があります。
また、工場のライン設計や設備の故障リスク分析にも、3Dデジタルツインの活用が進んでいます。
建築・都市開発でのユースケース
都市空間の3Dデジタルツインを構築し、防災、交通、まちづくり、環境、エネルギーなどの分野でシミュレーションや可視化に活用されています。
建物や都市の設計、改修、運用において、3Dデジタルツインは重要な役割を果たしているといえるでしょう。
自動運転でのユースケース
自動車メーカーは3Dデジタルツインを使用して、自動車の設計や性能をシミュレートし、安全性や効率性の向上を目指しています。
例えば、自動車の挙動を仮想的にテストして、現実での運転を予測することが可能です。
また3Dデジタルツインは、自動運転アルゴリズムの開発やテストにおいて、現実の環境を再現するために活用されています。
医療分野でのユースケース
医療分野では、患者の体や病院のシステムを3Dデジタルツインでモデル化し、治療計画の最適化や医療サービスの改善を目指しています。
例えば、特定の患者に合わせた治療プランをシミュレートすることが可能です。
また薬剤の開発や製造において、デジタルツインはプロセスの最適化や効率化に役立ちます。
出典:DBJ Research「次世代の生活・産業基盤となる都市のデジタルツイン」
シリコンスタジオが提供する「3Dデジタルツイン」は仮想空間でのシミュレーション環境/レビュー環境として活用できる
3Dデジタルツインの構築を検討している方は、当社シリコンスタジオの「産業分野におけるメタバース/デジタルツイン活用」を参考にしてみてください。
長年にわたってゲーム業界で培ったリアルタイム3Dグラフィックスの技術をベースに、ゲームエンジンを活用した高品質なビジュアルによる3Dデジタルツインで以下のようなシミュレーション環境やレビュー環境を構築することができます。
- 走行、運転シミュレーション環境
- 人流、群衆シミュレーション環境
- 船舶、マリン製品シミュレーション環境
- 災害シミュレーション環境
- デザインレビュー環境
- 工事進捗レビュー環境
関連ページ:Silicon Studio「産業分野におけるメタバース/デジタルツイン活用」
3Dデジタルツインを活用し業務DXを実現しよう
3Dデジタルツインは、製造業から医療分野まで幅広い領域で注目されている技術です。
製品開発や運用最適化、自動運転、都市計画などで活用され、効率化や品質向上に寄与しています。
業務DXを実現するためには欠かせない技術なので、ぜひ導入をご検討ください。
シリコンスタジオでは、「産業分野」の課題を解決するDXソリューション・技術を数多く提供しております。
デジタルツインによる課題解決を検討したい方は、お気軽にご相談ください。
■著者プロフィール:シリコンスタジオ編集部
自社開発による数々のミドルウェアを有し、CGの黎明期から今日に至るまでCG関連事業に取り組み、技術力(Technology)、表現力(Art)、発想力(Ideas)の研鑽を積み重ねてきたスペシャリスト集団。これら3つの力を高い次元で融合させ、CGが持つ可能性を最大限に発揮させられることを強みとしている。
DXコラムは、デジタルツインやメタバース、AIをはじめ産業界においてトレンドとなっているDX関連を中心としたさまざまなテーマを取り上げることにより、デジタル技術で業務の効率化を図ろうとする方々にとって役立つ学びや気付き、ノウハウなどを提供するキュレーション(情報まとめ)サイトです。